TOKYO埋没毛

情緒しか書きたくない。ホモ。

静岡市葵区のビデオレター


静岡へ帰省中に、高校時代の旧友が結婚することになったからビデオレターをとりたいと連絡があった。撮影は母校と、一緒に通った塾で行うらしい。
もう何年も会ってないけど、断る理由もなくて、繁華街から少し歩いたとこにあるピザ屋で合流した。
懐かしい。

中学から大学まで付き合っていた彼女と、よくこのピザ屋に来た。クリスピーとパンの中間くらいの生地で、胃もたれするくらいたっぷりのチーズのピザを、2人とも大好きだった。Sを2枚頼むと彼女は必ず一切れ残すから、2人でMサイズを一つだけ頼んだらたりなくて困ったこともある。
今も変わらずに美味しくて、卒業式の日に使い捨てカメラで撮った写真を、友人たちと辛気臭いけどなんか若返ったような気持ちで平らげた。

引き続き思い出話に花を咲かせながら、駿府公園のお堀沿いを歩いて、母校に向かう。授業ではなぜかこの周りを何周も走らされたし、放課後は彼女とよく公園内のベンチでお菓子食べてた。
キスもしたし手も繋いだし、2人とも自転車あるのにわざわざ2ケツをしてこの周りを走ったりした。

長谷通りを少し歩き、右に曲がって母校に着く。ほぼ変わってない。
グラウンドから富士山が綺麗に見えて、校舎の階段から見える富士山が本当に綺麗だったのを思い出した。冬晴れの日はとても近く、大きく見えた気がする。


もうどこにも、僕はいない

彼女と通った鷹匠のピザ屋。はじめてキスした新通り公園と、時間を潰した駿府公園。友人と歩いた長谷通りやこじんまりとした青葉通りのイルミネーションに、別れを告げた浅間神社

中高の友人も、彼女も、自転車で30分でどこでもいけるこの狭い静岡市で家族を作って、これからの毎日を築いていく。

自分には、ここで新しく何かを積み上げることはもうできないだろう。
思い出を踏みにじるほど汚らしく、僕は東京で居場所を探してる。

ビデオも無事に撮り終わり、家に戻ると、また少し太った母が、久しぶりの母校どうだったと聞いてきた。
グラウンドから富士山がすごくきれいに見えたって伝えたら、なんでか嬉しそうな顔をして、泣きそうになった。